この博物館を危険なところだという人たちのこと

2000年の年末のこと。僕は地雷撤去作業の為ポペイト(タイ国境の町)に行っていました。
そこへ博物館を手伝っている友人から電話があり、PM(ミリタリーポリス)が突然やって 
きて展示してある地雷や銃をたくさん持っていってしまったというのです。僕は慌ててシェム
リアップに戻ってきました。約2000個の地雷と約20丁の銃がなくなっていました。    
その日は日曜日だったので、翌日月曜の朝にPMのオフィスに事情を聞きに行きました。けれ
ど上層部の者がまだ来ていないと言われたので、一旦朝ご飯を食べに町なかに戻りました。 
食堂でご飯を注文しているとPMの車が何台も現れて食堂を囲み、僕はAK47を構えたPM達
に取り囲まれました。そのままオフィスに連れて行かれ、拷問を受けました。何のためにあん
な博物館をやっているのか。収入はいくらあるのか。僕は、普段はガイドをやり、孤児を養っ
ているといいました。地雷問題についてたくさんの人に知ってほしいから博物館をやり、地雷
をなくし事故を防ぎたいから撤去に出かけるのだと説明しました。けれども彼らは、僕の博物
館は違法だ、むやみに観光客を怖がらせるだけの場所だと批判し、州知事がここを閉めるよう
行っているなどと言いました。                            

僕は98年にここを開いた時、当時の州知事のトン・チャイ氏やCMACやHERO TRUSTといった
地雷撤去機関、PMや警察、村役場、群役場の全てから許可をもらっているのです。     
違法だということはありません。それにここに展示してある地雷をはじめと武器は全て危険の
ないように完全に処理をしてあるものです。地雷についても丁寧に説明するし、ここで観光客
は理解を深めてくれるのであって、怖がるなどということはないはずなのです。いろいろ説明
したいのですが、軍の関係者でもないのに武器(地雷などは国の財産だと彼らは言いました)を
扱うのはよくない、処置は追って決めると言われ、僕は留置場に入れられました。     

二日後、今度は裁判所に連れていかれました。そして州知事とPMから逮捕命令が出ていると
言われ、州の刑務所に入れられたのです。一週間後、再び裁判所に出され刑務所から出たかっ
たら3000ドルを用意しろと言われました。どうしようもありません。僕は家に帰り、今まで
博物館やガイドの仕事でコツコツ貯めたお金を全部出し、足りない分は友人や知り合いに借金
をしてお金を用意しました。裁判所とは別にPMや警察にもお金を配らなくてはならない状況
で結局、総額で5000ドルを用意しなくてはなりませんでした。そして、持っていかれた地雷
や銃は戻されませんでした。                             

2001年の5月頃、また問題が起こりました。州役所、村役場、群役場、警察、PMのそれぞれ
のナンバー2達が、それぞれの機関のサインの入った書状を持ってやって来ました。この博物
館を閉館させることに同意する、というものです。この時は、CMACのシェムリアップ代表と
HERO TRUSTのシェムリアップ代表が来てくれて、この博物館が危険なものでないこと、 
彼ら自身が毎年検問に来ているが問題ないと証言してくれたので何もされずに終わりました。

この一ヶ月後の事です。空港から市内へ向かう道の途中に大きなWAR MUSEUMが出来たのは
赤と青に塗り分けられた看板は、軍の機関であることを示しています。どんなものかと思って
いると、そこに並べられているのは、ほとんどが僕の博物館から押収していったものでした。
僕の博物館が、観光客をむやみに恐怖にさせるところだというのなら、このような博物館を全
て認めないことにすればいいのです。なぜ押収したもので同じような、いえもっと大きな博物
館を建てたりするのでしょう。入場料が3ドルかかるそのWAR MUSEUMは、よく聞いてみる
と軍の機関のように見せかけてはいますが、軍幹部の私企業として成り立っているものだとい
うことがわかりました。展示してある物も、彼らが自分たちで集めたものは(ちゃんと区別が
つきます)火薬が残っていたりするのです。いったい、彼らにとっては何が良くて何が悪いの
でしょうか?                                    

僕のこの博物館には今でも時々PMの人がお金をせびりに来ます。ここで問題を起こさないよ
うにこの博物館を続ける為には、お金を払うしかありません。また、夜中に怪しい人がウロウ
ロと歩いていて、展示してあるものをさらに狙っているのかと思うこともあります。    
もう一つのWAR MUSEUMに行かないでください。という訳ではありません。       
ですがあのMuseumの出来上がった経緯と僕の置かれている状況も覚えておいていただけたら
と願っています。                                  

                                     館長 アキーラ

 

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